「あれ、あさ今日はパンなの?」

いつもお弁当の私をみて、あやが言う。

「ま、まぁいろいろ、ね。」

「さっきからいろいろってなに?気になるんだけど!」

あやは、焼きそばパンにかじりつきながら、プクッと頬を膨らました。

「ごめんごめん、ちゃんと話すからさ!」

私はキョロキョロと見回し、春山を探す。

はるやま、サボりかな。

まぁ、不良だしね。

ガラ……。

小さく、教室の扉があいてそっちをみると、

小柄な女の子が教室をのぞきこんだ。

すると、男子達は、

「早川さんじゃん、どしたのー?」
「亜子ちゃんや」

と、そちらに目を向ける。

はやかわ あこ ちゃん?

だけど、女子はジロリと冷たい目を向ける。

あやに、

「あの子だれなの?」

と聞くと、

「え!知らないの?」

と驚かれた。

「あれだよ、人の彼氏とか人の好きな人とる、って噂の女の子。顔カワイイからもててんだけど、女子からは敵だよ。いわゆるぶりっ子ってやつ、」

あやは、ストレートな瞳をジロリとその子に向ける。

「へえ、」

確かに、カワイイ。

ぱっつん前髪とフワフワの茶色のボブの髪の毛。

クリクリっとした大きな瞳は色素の薄く、可愛らしい目。

ピンク色のプルプルのくちびる。

腕や足は細く、顔も小さい。

守りたくなる系の女の子。

ってところかな。

「あのぉ、太陽くん、知らないかな?」

カワイイ鈴のような声でその子は喋る。

うん、なんか、喋り口調からしてぶりっ子って感じだなあ。

「知らないなーごめんね、亜子ちゃん!」

男子はそう言って、亜子ちゃんをみる。

「ううん、ごめんね、ありがとう!」

それだけ言うと、そのまま、どこかへかけていく。

可愛かった……。

……て。

ん?

んん。

待てよ、

太陽、くん?

春山 太陽、

のことだよね。

知り合い?

もしや、

付き合ってるとか。

いや、ないよね。

わかんない。


……って!

私、何モヤモヤしてるわけ!?

あー、ばかばか!

私はモヤモヤをとるために、

ミルクティーをゴクゴクと飲んだ。




亜子ちゃん、ね。

あこ、なんて可愛らしい名前。

すごくきになるなー。