意地悪なキミと。

「あさ、今日、遅かったな」

あやは、私が学校につくなり、よってきた。

「まぁいろいろありまして……」

もう、ほんと、いろいろ。

「なに、いろいろって、今日のあさ、変なの〜」

あやはニッと笑う。

変?

いつも通りだけど……。

てゆか、アイツどこいったんだろう。

まだ、名前も知らないのに。

サボってるのかな。

不良、ってやつだもんなあ。

チャイムがなって、

出席確認がはじまる。

「はい。」

と、この短い言葉。

けど、なんだか、高校二年生は緊張する。

……そいえば、

お弁当ないんだった。

購買は朝のみ。

ってことは……。

今日のお昼ご飯はナシ!?

うぅ、なんてことしちゃったの。

自転車壊れるわ、暴言はかれるわ、学校遅れるわ、……

そのうえ、お昼ご飯なしって、

もー最悪!

そんなことをいっても、時は過ぎってって、

どんどん、名前が呼ばれてく。

出席確認。

隣の、アイツはまだ来ない。

「春山 太陽(ハルヤマ タイヨウ)!………また休みか。不良め。」

はるやま、たいよう?

たいよう……。

アイツの名前かな。

ぴったりの、名前だ……。

ガラっ!

教室のドアが、あいた。

……。

あ。

春山、だ。

あいつ、だ。

「遅いぞ、春山!」

先生の声は耳届かなかったらしく、

曖昧にうなづくと、

そのまままっすぐ自分の席へ向かう。

どさっ、とだらしなく座る。

なんか、こわい。

いやいや、さっき、普通に喋ったんだけど。

ガサ……。

私の机のうえに、あるものが置かれた。

ふくろ……?

真っ白の袋をのぞくと、

パンが二つとミルクティーが入っていた。

え。

え……っ?

「弁当、ねえんだろ」

春山は無表情で言う。

「あ、うん……!」

どうして、

買ってきてくれたの。

嬉しい……。

「あ、ありがとう!」

私が大きく、言うと、

「別に。」

と春山は冷たく言った。