蝶と空









そんなふうに


血迷っていたときだった








僕の銀の髪を大きくゆらすほどに


涙が乾いていきそうなほどに




すごい風が吹いた








ザワザワ…




生い茂る緑色の草たちが


きれいに順番に揺れる…




そんな緑色を見ていたときに


急に真っ赤な色が見えた…






「……ローズ………」



ローズだった。


真っ赤なワンピースを身にまとうローズが、そこにはいた。


最初に会った時から

ローズを思い出すことなんてなかったはずなのに



はっきりと記憶に刻みこまれていた。




もちろん、あたりまえのように隣にはタカがいる。







ひざまづく俺を見下ろしながら、ローズは赤い口をひらいた



「さぁ、行くわよ」