「そらぁー!みて!」



また、彼女の足音が聞こえて


笑顔で蝶を見せに来る




「紗知、また蝶を捕まえてきたな。可哀想だろ」


「えー!だってキレイなんだもん」


「そんなこと言ったって、弱ってしまうよ。生きているんだから」




広い広い草原の中

二つの家が建っていた



その家の周りには


冬には真っ白な雪で埋め尽されて

秋には真っ赤な落ち葉が広がり


夏には太陽に真っ直ぐ伸びる鮮やかな緑の葉が揺れる。


そして


春。


草原には白い花が咲き誇り、

そのわずか上を小さな蝶が舞う。



紗知はいつも、その蝶を捕まえるのが好きだった。


それも素手で捕まえてきて、いつもニコニコしながら俺に見せに来る。



そしてまた俺に、同じ質問をするんだ。



「ねぇ空、今日も家でご飯食べるでしょ?」


「うーんそうだな。昨日も紗知の家で食べたから、今日は家で食べるよ」


「えぇー!!家で食べようよっ!」


「じゃあ、分かったよ」


「やったー!早く!早く!」