白くなったキャンバスに再び思い出が描かれるように

 「ありがとう」僕はほっとしながら沙織に返す。でもこれはプロポーズじゃない。言う時は決めてある。
 「沙織は、何を言おうとしたの」彼女を見て言う。

 少し口を閉ざし

 「なんでもない。もういいの」そう言って微笑んだ。

 「なんだよう気になるじゃないか」 

 「だって、達哉先に言っちゃうんだもの。いつになったら達哉のご両親に会えるのかなって」

 「そっか、ごめん先に言って」「いいよ」にこやかに沙織は答える。