大倉さんを倒す!
そう胸に決めた明里は、今年の春、
美術に力を入れている、公立 稲羽高校に入学した。
入学式の2日後に部活動紹介があったが、彼女は他の部を尻目に、美術部が活動している、第2美術室に向かっていた。
もうすぐ着くと思い、思いっきり廊下を走った。走っている途中、第2美術室の前を見ると、とても長く艶やかな黒髪が見えたので、立ち止まった。
「あ、あの黒髪…まさか…!」
嫌な予感がした。
でも人違いだろうとも思った。
すると、美術室に入ろうとした黒髪の持ち主は振り向いた。
「チッ…白葉 明里…なんであなたがいるのよ」
やっぱり、大倉 夏目だった。
「なんで…?なんで大倉さんがいるの?!私、あんたを倒すためにここの高校に入ったのに!」
驚きを隠せなかった。なんでライバルでもある彼女が、この稲羽高校にいるのか。
「なによ、私がここにいるのに文句あるわけ?」
大倉さんは、高校生になっても性格は変わっていなかった。
「え、いや…だって、美術の強豪校に行ったとばかり思ってたから…」
明里は恐る恐る話した。そこで大倉さんが一言放った。
「…強豪校には、推薦も、一般も落ちた。だから、ここは二次試験で受けた。」
いやいや、そのドヤ顔どうにかしようよ。
心の中で私はツッコんだ。
すると、美術室の戸がガラガラと開いた。
「何〜?本当うるさいんだけど…って、え?1年生?!」
その言葉の主は、上靴の色が青色だったので、3年生の人だった。
「え〜っと、入部希望、なのかな?」
その問いかけに2人は
「はいっ、入部希望です!」
いかにも元気な声で答えた。