失った記憶の向こう

やっとかいとさんが、いなくなった。
もう、かいとさんがいるだけで心臓がもたないよー…
静かなうちに
片付け終わらせちゃおう。

「さっぱりしたぁ〜。」
かいとさんがお風呂からあがった。
「じゃあ、私も入ろっと!」
グイッ
「きゃっ」
私は引っ張られてかいとさんに抱きしめられているかたちになった。
「俺はもう1回入ってもいいぞ?一緒に入るか?」
「か(かいとさん)…は(はだか)…でっ(ですよ)」
「口ぱくぱくしてどうした?魚みたいになってるぞ」
「は、離してくださいって言ってるんです!!」
「おーこえー怒った怒った」
「もうっ!」
私はかいとさんを押し切ってすばやく脱衣場に行った。
私は脱衣場で「ぜーったいに、覗かないでくださいねー!」と叫ぶと
「はいはい」と、かいとさんの声が聞こえてきた。