まだ入部してないとはいえ、先輩とのLINEはさぞ緊張するだろう。

送信した亜矢だけでなく、真梨子までもが胸のあたりを抑えて固唾を呑んでいる。

やがて、ポンチャンッ♪という謎の音が亜矢のスマホから鳴った。
LINEのメッセ受信音楽だ。

画面には、「堀田先輩」と表示されている。
亜矢は緊張しながら、LINEを開いた。

『LINEありがとうっ!ん〜と、部活は大体週5日かな。1ヶ月に1度、土曜日もあるぉ』

「「しゅ、週5日!?」」
まさかそんなあるとは思わなかったのだろう、亜矢と真梨子が恐怖の雄叫びをあげた。

しばらく沈黙が続き、春風のヒュウウウ...という風音だけが響いていた。

「なっ、何かの罰ゲームじゃないよね!?」

そう沈黙を破ったのは、真梨子だった。

「罰ゲームじゃ、ないよ...。だってこうして、堀田先輩からLINEが来ているわけだし」
亜矢のその言葉に、真梨子は肩を落とした。

「週5日かぁ...。私、実はダンス部もいいなって思ってて...百人一首部は辞めるかも」
「嘘っ!私1人じゃ、入れないよう」

がっくりと肩を落とす亜矢。
その様子に、真梨子は顔をしかめた。

「亜矢ちゃん、馬鹿じゃない?私がいるかいないか,そんなことで諦めるの?」

いつも穏やかでヘラヘラしている真梨子が、初めて怒っている___。

「亜矢ちゃんは百人一首がやりたいんじゃないの?私なんて関係ないじゃん!...正直私は、亜矢ちゃんには百人一首が合ってると思う」
「マリちゃん...。」

亜矢の目にうっすら涙が浮かぶ。
真梨子は頬を緩めた。

「亜矢ちゃんは中学で私に出来た、初めての友達だから...。存分に楽しんでほしいんだ。...校長先生が言っていたように、『青春を謳歌してほしい』っ!!」
「ぷっ。なに完コピしてんの」

そして、亜矢と真梨子は笑いあった。

亜矢...そして真梨子も。

おもっていた、こんな日々が、いつまでも続いてほしいと___。