でもアタシは...

俯いて、陽葵ちゃんにお礼を言うことさえ出来なかった。

「ちょっと、亜矢ちゃん!」

マリちゃんが怒ったような、呆れたような声を出す。

「なんで陽葵ちゃんにお礼言わないの?陽葵ちゃんに一番お世話になったのは、亜矢ちゃんでしょ!?」

そんなこと分かってる。

なのに。

言葉が喉に突っかえて、出てこないよ。

「...っ、...」
「?」
「っマリちゃんごめん、今日は帰って...。大会、お疲れ様」

俯いたまま、声を絞り出す。

マリちゃんは察したのか、それ以上話しかけては来ず、病室を出ていった。