真梨子は懇願するように亜矢を見つめた。

面倒くさかったけれども、家に泊めてもらえるならそれくらいは仕方ない。

亜矢はひとつ溜息をつくと無言で歩き出した。

真梨子が文具屋で買ったのは、2冊のノートだった。

「百人一首ノート作ろう!毎日試合するっしょ?それの反省や、札流しの結果などをまとめて、今後に生かそう!」

真梨子はそう言って、亜矢にノートを1冊渡した。

(さっき、面倒くさいとか思って悪かったなあ...。マリちゃんは、百人一首の為に...)

亜矢は、クマやウサギなどの可愛いキャラクターが書かれたノートを見つめた。

(頑張らなきゃな、あたしも。)

そう思って、さっきとは違う意味でもう一度、溜息をついたのだった。


真梨子の家についた。

「ただいまーっ、あ、ママ今日亜矢ちゃん泊まるから〜」

「分かったわ〜、亜矢ちゃんこんにちは。大会はどうだった?」

「2人とも準優勝だったよ。」

真梨子がニコニコしながらも、少し寂しそうな顔をしてそういった。

「そう。お疲れ様、お風呂湧いてるわよ〜真梨子入っちゃいなさい。汗かいたでしょう?

亜矢ちゃんは、お母さんに連絡入れておいてね。」

「「は〜い」」

亜矢がトイレに行こうとすると、真梨子が言った。

「二階上がって、右に曲がって突き当たりの部屋。先行ってて〜」

「分かった。...ノートに反省書いてるね!」

「おおっ!?亜矢ちゃん偉ぁい。じゃあね」