***亜矢side***


「___かぜそよぐ」

(かっ、かぜそっ...!?
えと...、みそぎそなつのしるし...)

「あーった♪」
甘ったるい声が、亜矢の耳に届いた。

ロリータファッションの相手が、『かぜそ』にゆっくりと手を伸ばしている。

___いや、ゆっくりではなかったのかもしれない。少なくとも、亜矢にはそう見えただけのことだ。

パシュッ...!

その、札を払った音は果たして、
亜矢だったのか相手だったか...。

(よしっ)

亜矢だった。亜矢はタイミングは大きく遅れたけれども、華麗な払いで先に払ったのは確実に亜矢だ。

亜矢はそれからも、払いを続け、連取した。

「ありがとうございました...」

亜矢は見事、12枚差で勝利。
亜矢はこの時、この勝利は運だと思っていた。

___自分に素晴らしい才能が宿っていることも知らずに...