桜side

二人が人混みの中へと消えていった場所を、無意識に見つめ続ける。

更に、無意識に、

「分かってたんだ。ほんとは。」

本音、だった。

「え?」

同じく、立ち尽くしていた歩斗が首だけ動かして、私を見る。

きっと、いや、絶対、今の状況を理解してないよね、歩斗。

私も、微妙だもん。

でも、頭だけ酷く冷静で。

「もう、響は加那ちゃんのこと好きだってこと。それでも、足掻きたかった。長い時間を過ごしてきたのは私の方がって。
私の方が、響のことわかってるって。
でも、加那ちゃんはさっ、って響のこと持ってっちゃった。
ぁ~あ、負けたなぁ~、加那ちゃんに。」

私の負けだよ。加那ちゃん。

こっから勝者としてどうするかは、加那ちゃん次第だよ。

「.......そっか。」