「.......空がオレンジ色なのにね、全然暖かくならなかった。」
「え。」

そうだ、伝えられるのは、私の思いだよ。

今の、思ったこと全部。

今まで感じたこと全部。


「お母さんが、何処かに行っちゃった日、秋空が一瞬で嫌いになった。
沈みかける太陽の光がお母さんを包み込んでさらってっちゃいそうでさ。」
「.......。」


私の想い、届け。


「.......怖かった。苦しかった。切なかった。
ただひたすらに、秋を呪った。悪い夢なんだって思っても、紛れもなく現実で。
.......辛かった。辛いよね。」





私が、秋山君に微笑むと、秋山君は泣きそうになった。









「..............辛かった。苦しかった。怖かったっ!
ずっとずっと、今でも閉じた目の先に母さんがいて。
俺を、憎んでるんじゃないかってっ.......。」
「うん。」

ああ、良かった。


今、疑いもなく秋山君は、秋山君でいれてる。

心に穴が開いて、きっと寒い。

それも全部、包み込んで暖めたい。

私の心を溶かしてくれたみたいに。