そう言って男は椅子から立ち上り、扉の方に向かって歩いていく。


?「……………聞いて言うことなしかよ」


?「…言ったよ?お礼。
俺の用は聞くだけだから、他にどうこう用事を作る気はないね。
……一つ言わせてもらうと、
相手は何か企んでいるんだろうなぁってこと」


その言葉に男は驚いた。


?「……お前もそう思ったか……!
……あいつが俺に会おうなんて電話してくんのって滅多にないから、どうも気になるんだ……嬉しいっちゃ嬉しいけど…」


?「悪友なんでしょ?」


?「そうなんだが、ぶっきらぼうな奴だったからよ…」


?「ふぅん……まぁ、何か起こったとしても、俺はすぐに気づかないとね。
じゃないと、俺がどうしてわざわざこの学校にいるのか、意味が分からなくなるし。
……じゃあ………楽しんで来なよ」


?「……あぁ」


男の笑顔は最後まで変化することなく、そして、


?「失礼しましたー」


とまた気の抜けた声で部屋を出て行った。






……………カチ、カチ、カチ……………







?「……はぁ……なんか、会うのが怖くなってきた……」