ゼロ校 RUSH

家を出てから、数時間か経った。


外を眺めていると、助手席にいるお母さんがクルッとこちらに顔を向けた。


音「緑、行き先のとこまで遠いから今のうちに寝といたら?お母さんも」


緑「そうですね、早めに身体を休ませておきます」


汐「ええ、明日は忙しいだろうからね」


音「えっと、確かタオルケットを持ってきたはず…だよね、秋くん」


秋「あぁ、トランクに詰めてると思う」


後ろを見ると、手がギリギリ届くほどの距離にタオルケットはあった。

それを取って、体の前で広げる。


緑「これぐらいの大きさだと、心配なく2人入れますよ」


汐「そう、良かったわ。
じゃあ少し休ませてもらいましょうか。
秋さん、悪いけど運転お願いします」


秋「はい。
このくらい平気ですから、ゆっくり休んでください」


音「おやすみー」


緑「おやすみなさい」


言葉を交わして後、私とおばあちゃんはタオルケットを体に掛けた。


その時ふと私は、何か大事な事を忘れている気がしたのだが、徐々に来る睡魔によって瞼が塞がれ、結局思い出す事はなかった。