ゼロ校 RUSH

弱気な心を無くそうと、頬をパンッ!と叩いた。


緑「………よし!」


強く叩いたからか、痛くてつい涙目になったが、その痛さは私の良い刺激になった。


玄関まで行くと、お父さん達はもう靴を履いて立っていた。


緑「すみません、お待たせしました」


秋「大丈夫。……行こうか」


家を出ると、外が少し暑く感じる。
夏が近づいている証拠なのだと思う。


お父さんは私達の荷物を車に詰めてくれていた。


ふとお母さんを見ると、玄関の前で寂しそうに家を見上げていた。


緑「お母さん…」


声をかけると、お母さんは私を見て僅かに微笑んだ。


音「ごめんね、緑のほうがよっぽど辛いはずなのに」


今のお母さんの表情は、笑顔とは言えないほどの悲しさを帯びていた。