ゼロ校 RUSH

しばらくすると、ノックの音がした。


緑「はい……?」


顔をのぞかせたのはお父さん。


秋「緑、ちょっといいか?」


緑「どうしました?」


コソッと中に入って、ベッドに座っている私の隣に腰を下ろす。


秋「……転校のことなんだけど………緑が通う高校は、ずっと遠い。
だが、俺は今直ぐに家を出ようと思っている」


緑「え!……今からですか!?
そんな、急に…」


秋「…すまんが、引っ越しのことはもうほとんど済ませてあるんだ。
だから、必要の物だけを持って、この家を出るんだ」


真剣な顔つきを見せるお父さんに、私は何も言えなかった。


緑「……急いで準備します」


秋「…ありがとう」


お父さんはそれ以上何も言わず、静かに出て行った。