何を察したか、お母さんはすぐさまキュッと口を閉ざした。


お母さんが静かになったのを確認して、話を続ける。


秋「その友達、ある高校の校長をしているんだ。
それで今その高校は、別の高校との合併の話が持ち上がっている」


緑「その合併の事と、私との繋がりはどうあるのですか?」


秋「合併する高校は、緑、お前が通っている高校となんだ」


緑「えぇ!?」


………私が通う高校は、夏峰女子高等学校。
とても立派で、設備も十分に充実しており、しっかり勉強が出来る環境に整えられている。
そのような高校が……合併?


秋「あいつの友達で、合併する高校に子供がいる俺は、絶好の機会なんだろうよ」


緑「…あの…私は何をすれば…?」


秋「友達は、本当に合併できる学校であるか、女子校側の意見を知りたいんだそうだ。
だから、緑には実際に学校で過ごしてみてほしいって
先生が調べるよりは、生徒に近い歳の子のほうがいいだろ?」


緑「成る程…。大事な役割のようですね………分かりました。
私で良ければ、夏峰高校の代表としてぜひ頑張りたいです!」


私の言葉に、お父さんは笑顔で頷いた。


秋「ありがとう、緑」


緑「いえ、これも何かの縁だと思うんです。
正直に言うと、とても楽しみなんです。
何が起こるんだろう、って」


秋「そうか……」





その時私は、お父さんが悲しい表情をさせていた事に、気付けないでいた。