ハッシュハッシュ・イレイザー

「それにしてもそっくりだった。道理で勘違いしたわけだ」

「そんなに似てるの? うわぁ、私も真理の双子のお姉さんと会ってみたい。見分けられるかな」

 紫絵里は面白半分にしていた。

「私たち顔は似てても、性格は全然違うの。だから、話せばきっとすぐに見分けがつくはず」

「で、お姉さんの名前はなんていうの?」

「マリア」

「真理とマリアか。やっぱり双子だけあって、名前も似てるんだね。是非、そっくりな顔を二つ一緒に見てみたいな」

「おい、瀬良、見世物みたいに言うんじゃないよ。失礼だぞ」

 優介がけん制した。

「いいの、いつも言われる事だから、気にしてない。紫絵里にもいつか会わせてあげるね。マリアもずっと家に引きこもっていると退屈そうにしてるの。早く外に出たいって思ってると思う」

 真理は健気に微笑むも、どこか陰りを帯びていた。

 マリアの話をする時、はっきり言えない心配事がありそうに思え、優介は静かに真理を見ていた。