ハッシュハッシュ・イレイザー

「わからない。でも何度読んでも飽きないの。天使と少女の恋物語。いつ読んでもドキドキしちゃう」

「でも、最後は悲しい結末だわ。だって、引き離されてしまうんだもの」

「そんな事ないわ。二人はいつまでも愛し合って、その愛は永遠に続いてるのよ。二人にとってそれは幸せな形なの」

「そうね、幸せの形は色々だものね。それは他人には理解されないものだとしても」

「でも、真理は理解してくれる……」

 悲哀に満ちたマリアの目が潤っていく。

「マリアが泣くことなんてないわ。あの石が現れるとマリアも情緒不安になるのね」

「私以上に、真理がそうなってるわ」

「でも安心して、必ず上手く事が運ぶから。マリアは何も心配することはないの。後は私に任せて。とにかく今は安静にしていて」

「わかったわ。真理も無理しないでね」

 マリアは、真理が三角関係で苦しんでいることを、示唆していた。

 真理は敢えて何も言わず、静かに頷き、そして笑顔を見せた。

 安心して目を閉じ、眠りにつこうとするマリアを見つめる傍らで、真理は枕元に置かれた本を一瞥した。

 その本にはタイトルがついていなかった。