ハッシュハッシュ・イレイザー



 その遠足の当日。

 結果は、厚い雲に覆われたどんよりとした曇り空だった。

 一瞬のぽつぽつとした水滴が空から落ちたと思ったら、雲の隙間から太陽が少しだけ覗いたりして、優介と紫絵里の予想をどちらも満たし、白黒つけられない怪しげな曇り空がずっと続き、曇りを選ばなかった二人はどちらも外れてしまった結果になった。

 賭けを含め、天気の事について紫絵里は優介と話し合いたかったが、バスの中までは隣の座席になれなかった。

 紫絵里は一番前の席で、隣に真理が座っている。

 優介は気の合う友達と後部座席一体を陣取り、和気藹々と騒いでいた。

 その近くには瑠依を率いるグループが居て、優介のグループと交わり楽しんでいる。

 瑠依は取り巻きに助けられ、通路を挟みながらもこの時、優介の隣に座っていた。

 優介は紫絵里の時とかわらない気さくさで、瑠依と時折話し、目的地に着くまでの間、遠足の浮きだった楽しさで乗りよく馬鹿騒ぎしていた。

 周りが騒げば、それにつられて便乗し、羽目をはずしてしまう。

 担任の鮎川華純も、遠足の時は寛容で、みんなの好きにさせていた。

 バスの前と後ろでは、その騒ぎにも差がでているが、前の席に行くほど静かで、ただ座っているか寝てるだけになっていた。

 紫絵里も言葉少なく、車窓の外を見ているが、後ろから聞こえてくる笑い声に交じって優介の声が耳に入ると、振り向きたそうに葛藤していた。

 ほんの数時間の辛抱だと自分で言い聞かせ、優介の近くにいる瑠依に、敵に塩を送る気持ちを決め込もうとしていた。