ハッシュハッシュ・イレイザー

 誰もが自分の本能で抱く思いのままに、気に入らなければ敵意をむき出しにする。

 相手によって、悪意と気持ちのぶつけ先を器用に変える。

 人間なんて、こんなもの。

 それを上手く使い分けられる人が、一番得をし、賢い学校生活を送れるのだろう。

 決して本心を知られないで、全てに順応できる人こそが、コミュニケーション能力が高いといわれるのかもしれない。

 だが、人の事を悪く言わず、自分にも驕らず、悪意も意地悪もない、そういういう人の方がもちろん立派だ。

 そういうことは誰しもわかっているのだろうが、わかっていてもなれるものでもないのが悲しいところ。
 
 人間には、不満、嫉妬、憎しみが湧く。

 これがあるから、人は狂ってしまい、言葉になって口から悪意や意地悪が飛び出し、挙句の果てに行動に出てしまう。

 全ては自分の事を守りたいから。

 自分がかわいいから。
 
 自分の欲望が抑えられないから。

 そして、真理もその中の一人であることは充分承知していた。

 「おはよう」と紫絵里が傍に寄ってきて、真理に声を掛ける。

 真理も微笑んで「おはよう」と挨拶する。

 黒板に描いたブロークンハートの事を思い出しながら。