ハッシュハッシュ・イレイザー

「今更、何をとぼけてるの。真理が私にってくれたんじゃないの。やだ、もしかして忘れちゃったの? それとも何かの勘違いだと思ってるの? でもこれは本当に真理から貰ったわ」

 真理は考えていた。

 確かにあの石には見覚えがある。

 しかしそれを紫絵里にあげたという記憶がなかった。

 何か誤解が生じている。

 とてつもなく、それが問題を起こしそうに真理は胸騒ぎを覚えた。

 紫絵里の石を見つめる目が憑りつかれたように、トロンとまどろんでいた。

「ねぇ、真理、次に私が願うことが、何だかわかる?」

 石の力を信じて止まない紫絵里は、不敵な笑みを口元に乗せて呟いた。

「そんなの、わからないわ」

「えっ? 真理なら私が何を望んでるか気が付いてると思ってた。だけど、教えてほしい?」

 甘えを見せるようでいて、何かを期待している目を紫絵里は向ける。

 そこに自ら話したいという願望が現れていた。