ハッシュハッシュ・イレイザー

 しかし、馬鹿にされて黙っている紫絵里ではなかった。

 いざボールを手にすると、負けたくない根性ですぐさまゴールを目指して、ボールを投げた。

 ボールは抵抗なく、吸い込まれるようにリングの中に入り、運が強い紫絵里は、上手くシュートを決め点数を加算した。

 そして馬鹿にする女子たちの顔を鋭い目つきで見返した。

 自分だけが他の女子とは違う自信を得た顔つき、それは優介の隣の席を手にしたときから、顕著に紫絵里の顔に現れていた。

 それを傍で見ている真理は、とても辛く、そして悲しい。

 安らぎを得られぬまま、常に体が何かに引っ張られていく不快感を抱き、いつも心がざわついていた。

 その根本的な理由は何かと聞かれれば、真理ははっきりとまだその答えを見つけられないでいた。

 紫絵里の事が心配でたまらないのか、それとも意地悪をする女の子たちの感情に同意してしまうのか、とにかくもやもやと曖昧に包まれて息苦しくなっていた。

 少し意地を張った気の強さがある紫絵里だが、いい友達には変わりない。

 優介が絡んでくると、大切なものを守ろうとした過度の防衛が、少し不快感をもたらす。

 それは本能的なものに過ぎないから真理は理解しようとしていた。

 だから、この時も紫絵里の傍に精一杯寄り添い、自分だけは味方だといいたげに心配する目を向けた。

 クラスの女の子たちから意地悪をされ、それに刃向っていた紫絵里の表情は幾分か和らぎ、口元が少し上向きになった。