ハッシュハッシュ・イレイザー

「そうだったみたいね。でも、奇跡的に助かってから別人のようになって、ご両親も本当に自分たちの息子かって不思議がってらっしゃったみたい。そして、突然の死を悲しみながらも、どこかでそれは最初から松永君が計画していた事のように思えたそうよ。事故ですでに天国に行きかけたけど、戻ってきて最後のチャンスを少しばかり神様から与えて貰って更生したって、ご両親はこんな風に捉えてたわ。親としては子供を失うのは辛いけども、松永君の場合、少し複雑な事情があったから、ご両親も色々と理由をつけたかったんだと思う」

 紫絵里はその話を聞いていて、ハイドが全てを操った結果だったと思った事だろう。

 実際、すでに命を落としかけていた優介に新たな命を吹き込んだのはハイドだったし、不良から構成させて、新たな人格を植え付けたのも、その一環の作業だった。

 すでに元の優介は消え、優介の体を借りた別の人格がそこに居ただけだった。

 ハイドは訳ありの素材しか選ばない。

 ハイドもむやみに自分の欲望を押し付けないで、迷惑にならずに選んでやっていたことだった。

 紫絵里は驚いて口がポカンと開いていたけれども、私が説明したことと重なって充分どういう事か理解したと思う。

 その時、私を少しちらっと一瞥し、自分が思っていることが正しいのか自分なりに確認しようとしていた。

 だから私も、首を一振りして、肯定してやった。