ハッシュハッシュ・イレイザー

「そうね、人間は怒りに支配されると、何をしでかすかわからないわ。そこに殺意がなくとも、人を簡単に傷つける事ができる。だけど、真理は傷つけたくてあの行動を起こしたんじゃない。そうせざるを得なかったの」

 ここから私はマリアとハイドの恋の始まりを説明しなければならなかった。

 天使と少女の歪んだ恋物語。

 そしてその副作用──

 マリアは恋に落ちたハイドから分け与えられた命によって、常に自分を愛する者の命を奪ってしまう体になってしまった。

 この世に存在する命は吹き込まれたが、マリアを愛するハイドが現れれば全てを吸い上げてしまい、ハイドはこの世から消えてしまう。

 だからマリアはハイドから離れなければならなかった。

 しかし、天使から与えられた命は人間のそのものとは違う性質があり、年は取らないが、あまりにも中途半端な存在となってしまった。

 ハイドに会えばハイドの命を完全に奪い、人間としてもまともに一生を終えられず、孤独にこの世に存在するだけでは辛すぎた。

 ハイドも命を半分マリアに与えたことで、完全な天使にはなれずに、ある程度の人の魂を捕食しないといけない体になってしまった。

 恋に目が眩み、その愛を得ようとしたことで二人は天罰を食らってしまった。

 愛するがゆえに与えられた試練。

 だがある日、小さな希望の光を二人は見つけた。

 それが真理の誕生だった。