ハッシュハッシュ・イレイザー

「誰でもないわ。私は私だから」

「そんな、だって、真理にそっくり。双子の姉のマリアでもなかったら、なぜそんなに似ているの? 三つ子だったの? ううん、それよりも、どうして看護師さんには見えなかったの。もしかして、幽霊なの?」

「面白いわね。当たらずとも遠からずってところかしら。真理はマリア、マリアは真理、そして真理とマリアは私でもある。私たちは同じ体を共有している三つの人格ってところね。そして幽霊ではない。だってまだ死んでないんですもの。ただ、人には見えなくてあなたには見えるってだけよ」

「一体どういうことなの? わからないわ。それに、どうして、松永君を殺したのよ」

「私は優介を殺してないわ。真理もマリアも殺してない。あれは優介の運命よ」

「だけど、真理が松永君の胸を刺すところを私は見たわ」

「その前にあなたが刺そうとしてたじゃない」

「あっ……」

 紫絵里はその事実に改めて驚いていた。

「私、殺そうとなんて思ってなかった。あれは、感情に流されて……」

 必死に言い訳をする姿に私は笑ってしまった。

 決して馬鹿にした訳ではない。

 ただ、自分を棚に上げて人を責められるその図々しさがおかしかった。