ハッシュハッシュ・イレイザー

 ある程度して、紫絵里の泣き声が少し落ち着いたところで、優介は自分の心情を吐露した。

「俺が悪いんだ。はっきりと最初に真理に自分の気持ちを伝えなかったから、瀬良は誤解してしまった。俺、初めてこのクラスに入って真理を見てから、ずっと真理が好きだったんだ。俺の気持ちは変わらない」

 顔を歪ませて語る優介のやるせなさと、切ない恋を語る気持ちには、紫絵里もどうすることもできなかった。

「何よ、何よ、だったら真理はその気持ちを受け止めないでよ。真理も松永君も不幸になるべきよ。この私のように。それくらいの償いはしてもらう権利はあるわ」

 最後の悪足掻きとでもいうように、紫絵里は無茶苦茶な事を注文する。

 申し訳ないと思っていたが、図に乗る紫絵里に対して、優介は呆れ気味に溜息を一つ吐いた。

「しかし、真理も俺の事が好きだと言ってくれたんだ」

「それじゃ、私はどうなってもいいというの。はっきり言って、松永君に弄ばれたのよ。どうやって償ってくれるのよ」

「俺は瀬良を弄んだ覚えはない。友達として瀬良と付き合ってただけに過ぎない」

「何よ、都合のいいことばかり言って」

 再び紫絵里は泣き出した。

 今の状態では何を言っても無理だった。