ハッシュハッシュ・イレイザー

 真理もそれは充分判っていたが、こればかりは感情に支配され、お互いどうしようもない。

 真理はできるだけ控えめにしてきたが、マリアに言われる度に、自分の感情も抑えようがなくなってきた。

 マリアの言う事には、真理は必ず従ってしまう。

 自分と同じ容姿、常に傍に居て、真理の味方になってくれる。

 もう一人の自分。

 知らずと真理もマリアに感化されて、行動が大胆になってくる。

 そしてそれもすでにピークに達していた。

 そろそろ、行動に起こす時が来たと真理も思うようになっていた。

 だから、この時、誰もいない教室で、大胆になろうと真理は覚悟を決めていた。

 テスト前に優介と偶然一緒に過ごし、優介の気持ちに真理はふと触れた。

 お互い特別な言葉は交わさなかったけど、一緒に居るだけで意識し過ぎてドキドキしっぱなしだった。

 それが心地よくもあり、あの気分は後味がずっと続いた。

『試験が終わったら、今日の放課後みたいにまたゆっくり話そう』

 最後そう言って、あの日、優介と別れたが、真理はその言葉を今もずっと覚えている。

 試験が終わったこの日、もしかしたら優介は現れるんじゃないだろうか。

 こうやって誰もいない教室にいるのも、真理は密かに優介を待っているからだった。