ハッシュハッシュ・イレイザー

 真理は初めてこの教室に入った時の事を思い出す。

 誰にも気に留められないで、一人ぼっとし、自分はここにはふさわしくないと疎外感たっぷりに、溜息を吐いていたが、

 同じように投げやりな部分を抱えて、一人でいる紫絵里の姿が目に入った。

 じっと見つめれば、紫絵里も真理に気が付いて目が合った。

 その出会いが奇跡だと思った。

 それからは友達になるには時間がかからなかったが、紫絵里が自分を見つけてくれた事に心から感謝したものだった。

 紫絵里は癖のある性格をしているが、唯一の友達だから、真理は気にせず紫絵里の事を一途に受け入れた。

 少し人との付き合い方に慣れてないだけ。

 紫絵里は真面目で一生懸命に突っ走る、臨機応変に物事を考えられない損な性格だった。

 流される真理にとってみれば、多少の紫絵里の強情さは頼りがいがあったし、ややきつい性格でも、自分にはない部分に惹かれていた。

 長所としてみれば、紫絵里は珍しく自分の信念を持っていて、周りに影響されずに意見をはっきり言える性格だった。

 ただそれが悪く言えば頑固でもあるが、自分の意思をしっかりと持っているのは、その辺にいるメンタルが弱い者よりはしっかりしていた。

 それくらいの強さがある方が、真理にも都合がよかった。

 真理と波長が合うことで、紫絵里は真理にとって欠かせない存在。

 真理は紫絵里と一緒に居ることに充分感謝していた。

 だけど同じ人を好きになったことで、紫絵里のバランスが崩れてしまった。