ハッシュハッシュ・イレイザー

 その延長で絶対にでしゃばらず、紫絵里のためなら、真理は我慢して諦めて遠慮すると思い込んでいた。

 自分に楯突かない、忠実な家来── 

 そんな真理が自分を出し抜こうとしている気配を感じる。

 真理は普段から気弱で引っ込み思案であるが、消極的なそんな性格がすぐに変わるものなのだろうか。

 だが確実に真理はどこか違う人に見えていた。

 自分の気にし過ぎなのかもしれない。

 何気ない顔を装い、紫絵里はそれを無理に否定して、真理ともう一度向き合おうとした。

 あの石がある限り、全てが思い通りにいく。

 そう信じて、紫絵里は気持ちを浮きだたせて、微笑んだ。

「ねぇ、真理。テストも終わったことだし、気晴らしに午後からどこか行こうか。真理とは帰る方向が違うから、学校帰りに遊びに行くことはなかったけど、今日は二人で寄り道しようよ」

 紫絵里が気持ちを持ち直せば、調子いい言葉が口からついて出る。

 それと同時に、面と向かって真理と向き合えたことで、真理へのわだかまりも消え行きそうに気持ちが軽くなった。

 しかし、真理が予想外に首を縦に振らず渋った顔をしたことで、元の木阿弥になってしまった。