ハッシュハッシュ・イレイザー

 優介がはっきりと意味を言わなかったことで、前日の放課後、真理と二人で英語の勉強をしたことを隠したいと真理にだけは理解できた。

 優介が紫絵里に真相を話さないことで、優介と秘密を共有しているようでドキドキと胸が疼いた。

 しかし、腑に落ちない紫絵里の顔が真理に向けられた時、それは水を差した。

 本当にこれでいいのだろうか。

『真理、それでいいのよ』

 ふと、マリアの声が聞こえたように思えた。

 それとも、自分で肯定したのだろうか。

 真理は背筋を伸ばし、見下ろすように座っている紫絵里に微笑む。

 紫絵里には押さえつけられたくない反抗する気持ちが態度に出ているようだった。

 余裕を見せつける真理の笑みが紫絵里には鼻に着く。

 体の中で爆発寸前のマグマを抱え込んだように、ぐつぐつと煮えたぎって、紫絵里は真理を睨み返した。

 そのきつい表情が何を意味しているかわかっていても、真理は泰然と構え、敢えて見て見ないふりをした。

 そのすぐ後、チャイムが鳴ったことで、真理は自分の席へと戻って行った。