ハッシュハッシュ・イレイザー

「真理は大丈夫よ。いつも冷静で落ち着いてるし、試験の準備だって絶対怠ってないから、余裕だよ」

「えっ、そんなこと……」

 真理が否定をしようとしても、紫絵里は無視をする。

「それで、松永君はどの科目が一番やばいって思ってる?」

「やばい科目? そうだな、英語が当てはまるかな。でも、今回はなんか頑張れそう。女神が俺に微笑んでいるような気がする」

 意味ありげに優介は微笑み、ちらりと真理を一瞥した。

「女神?」

 紫絵里が良くわからないでいる傍で、真理はクスッと笑っていた。

 そこに息の合うものを感じると同時に、二人にしかわからないやり取りがあるのではと勘繰った。

「どういう意味?」

 紫絵里が問い質しても、優介は何食わぬ顔で白を切りとおす。

「別に深い意味はないよ。ただ幸運の女神が、俺を助けてくれるかもっていう意味さ」

「ふーん。神頼みするんだ」

「まあね。それで試験が終わった日に、俺は女神にお礼しなくっちゃいけないかも」

「何をお礼するつもり」

「女神が望むものなら全てさ」

「なんだか、話が変な方向に言ってるわ」

「それぐらい、神頼みなのさ」

 最後、優介はとぼけたように笑っていた。

 真理もおかしかったのか、クスッとしていたが、紫絵里は素直に笑えず、ひきつった笑みを顔に張り付けていた。