ハッシュハッシュ・イレイザー

「そんな、はっきりと言われても」

「ううん、いざというときは、真理は絶対にできるわ。紫絵里なんて気にしなくてもいい。好きな人に好きだと早く伝えなさい。そして優介の心をしっかりと奪うのよ。あなたならできる」

 マリアは両手を広げ真理を呼び寄せる。

 真理はマリアの腕の中にすっぽりと包まれて、ぎゅっと抱きしめられた。

 マリアに融合されるように温かく包まれ、それは心地良く安心感を得られた。

「恐れることはないのよ真理。私はあなたを信じてる。あなたは好きな人を手に入れられるわ」

 呪文のように甘く耳元で囁くマリアの声が、体の中に浸透し、マリアの積極さを分け与えられたように、真理の恐れが消えていく。

 体の力が抜け、マリアに支えられ、真理は暗示にかかるように意識を朦朧とさせた。

「私の思いは真理の思い。真理の思いは私の思い」

 マリアの声がずっと耳に残り、いつまでもリフレインしていた。

 次第に自分が真理なのか、マリアなのか、わからなくなっていくようだった。

「もっと力を抜いて、そして自分の気持ちに正直になりなさい」

 まるで暗示にかけるようにマリアは真理を言い負かせる。

 次第に真理の心は解き放たれ、優介を思う気持ちが膨れ上がってくる。

「それでいいのよ、真理」

 真理の思いを肌で感じ、マリアは微笑した。

 口元に乗せたその小さな笑みにマリアの欲望が込められて、それはどこか怪しく、邪悪なものにも見えるようだった。