ハッシュハッシュ・イレイザー

「おっ、瀬良、メガネからコンタクトに替えたんだ。なかなかすっきりしたな」

 あからさまに面と向かって、異性に対して褒め言葉を言うのには、照れもあることだろう。

 何も反応がないよりも、わざとらしくても大げさに話題にしてもらえるだけで、紫絵里には充分だった。

 紫絵里は恋をすることで、自分の欲望が膨れ上がって、内面的に変化が現れた。

 それは紫絵里を明らかに変え、以前よりは明るく、そして大胆になってきている。

 恋をすると人は美しくなるというが、まさに紫絵里はその道を辿っていた。

 そんな紫絵里の乙女心は、健気でやっぱりかわいいと思える。

 恋心を抱えて、弾んで楽しく会話する紫絵里。

 そのノリに便乗して茶目っ気たっぷりに反応する優介。

 二人のその姿を見ていれば、その仲の良さぶりを邪魔するのは引けてしまう。

『真理、何も恐れないで。あなたは自分の思うままにすればいい。優介はあなたのものになるわ。遠慮なんてすることないの。優介もすでにあなたの事が気になってるはずよ。だって、私がそう仕向けたのだから』

 マリアの言葉が、また心の中で繰り返される。