ハッシュハッシュ・イレイザー

「そう、それは人から攻撃されても、または自分自身の湧き起る感情でも、受けてしまう。紫絵里をよく見るといいわ。彼女はわかりやすいぐらいにこれから壊れていくと思うから」

 マリアの笑みがこの時邪悪に見え、真理は喉の奥で息が引っかかった。

「彼女は周りが見えなくなっている。ほんの少しバランスが崩れたら、彼女みたいな人程壊れやすいわ。真理もそれがわかってるから、あの石を取り戻したいと思うんでしょ」

「そうね、紫絵里はあの石に頼りすぎている。紫絵里が思うほどの力なんて全くないのに」

「信じ切ってる人もやっかいね。片寄った考え方で自分が思う方へ傾いて、それが正しいと信じた時、そこで固定されてしまう」

「だけど、それは私たちがあの石の本当の役割を知ってるから、否定できる」

「でも、紫絵里のような人が必要なのも事実。あの石の力が強くなってきたから、私を紫絵里に会わせてもいい話をしたんでしょ」

「あっ……」

「真理、何も恐れないで。あなたは自分の思うままにすればいい。優介はあなたのものになるわ。遠慮なんてすることないの。優介もすでにあなたの事が気になってるはずよ。だって、私がそう仕向けたのだから」

 笑みを浮かべているのに、マリアの表情は冷たく邪悪に感じた。

 それがまったく自分と同じ顔であるために、真理は鏡を見ていると思い込むほどだった。