ハッシュハッシュ・イレイザー

「それで、誰かが近くで亡くなったんでしょ」

 単刀直入にマリアが訊いた時、真理はビクッと肩を震わせた。

「やっぱりね。でも仕方のない事。ハイドが近くに居ようが居まいが、いずれ自然に起こったことだろうし、ほんの少しだけ時期が早まってしまっただけ。何も罪の意識を感じなくてもいい。そうでしょ、真理」

「そうね。ハイドは悪でもなんでもない。彼はちゃんと見極めてやってるわ。それが彼の本来の仕事なんだもの」

「ありがとう真理。ほんとはあなたの気持ちがよくわかってるの。私を労わるために、無理してくれてることも」

 お互いの事を主張しながらも、結局は妥協点を見つけ、二人の考えは同じ所で落ち着く。

 何度とそれは交わされ、同じことを繰り返し、そしていつも同じ結果へと導く。

 その過程で真理は常に葛藤し、マリアもその様子を見ているのが辛くとも、二人はその先の答えを完璧に知っていた。

 そしてまたその結果を求める時期がやってきたこともわかっていた。