ヒラリと舞う一羽の蝶。
羽を休めるかのように、そばの小さな一輪花にとまった。
白く小さな花だった。
風が吹き、揺れ動く花に身を任せながら、
蝶はその甘い蜜を吸い、
再びヒラリと舞った。
そして果てなき碧空にむかってとんでいく。
周りの草がそよそよと葉をならす。
花は、何も言わない。
何も言えない。
ただ、そこにひっそりと咲いている。
雨も降っていないのに、露(つゆ)が花弁に一雫。
誰にも知られることなく、静かに零(こぼ)れた。
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