「っつ!うっ、うぅ。椿のバカっ!最後の切り札って言ってたじゃん。なんで返すの?」



声を出して泣いたのはいつぶりだろう?


こんなにも、感情を押さえることなくただひたすら泣いたのは、もうずっと前のことだ。


高校生の時には、もう我慢して逃げる事が得意だったから。



「バカ椿ー!!好きだって言ったじゃん!未来もずっと好きって言ってたじゃん!いつか、ってなんだバカー!!」


チーンっ!!


と豪快に鼻をかんで、腫れて熱を持ってきたまぶたを擦る。



「…………でも1番、バカなのは私だ。こんなにも好きな人が、好きだって言ってくれたのに逃げたんだから……それも2回も。」


あの日。遊園地に行った時、記念にってスマホで撮った椿とのツーショット。


楽しそうに笑う、私達。



「私。もう、逃げたくない………。」



やっぱり私は椿が好き。
椿の隣がいつだって、一番居心地がいいんだ。



「私もうっ!逃げるのやめるっ!!」



最後の切り札って言った、このイヤホンも椿に返してやる!


もう、いらないって。


勧誘がしつこい時は、椿に電話していいんでしょ?って。


私には椿が必要なんだって。



私の気持ち、伝えよう。