「……再会したばかりだし、本当はもっと時間をかけて都との距離を縮めたかったけど。」


あ……また、悲しそうに笑う。


その椿は夕陽がさして、悲しそうなのにすごく綺麗だった。





「1ヶ月後にアメリカに戻る事になった。」




「………えっ。」




椿、またアメリカ行くの?



「……もともと、日本には引き継ぎの為だけに戻ってたんだけど。都に会って無理やり仕事入れて、日本での滞在を伸ばしてたんだ。でも、それもここまで。これ以上、引き延ばせない。」


「あ、え、えっと。」


待って待って。頭が混乱する。

椿に告白されたけど、椿はアメリカに行っちゃうわけで………。
つまりは、遠距離恋愛になるってこと?
でも、いつまで?
私だってもう29だよ?そんなに待てる?


じゃあついてく?


そんなの、無理だよ。


「………ぷっ。」


私が真剣に考えていると、椿が私を見て笑う。


「都、ほんっと変わってねぇな。難しいこと考えるときのクセ。」


そう言って、椿はこめかみに人差し指をあて、トントンと叩く。



それは私が考え事をする時のクセだ。


「……困らせてごめん。でもいい加減、伝えたかった!はぁー。やっと言えたよ。」



もうすぐ、観覧車が終わる。

観覧車が終わると同時に、椿との時間が終わってしまう気がした。