恋しちゃえよ。いい加減。

「よし。もう着くぞ。」


そう言われてまわりをキョロキョロと見渡す。


「って、まさかの遊園地!?」


「うん。そー。」


椿の意外すぎるセレクトにちょっと驚いていると、車を停めた椿は、外に見えるジェットコースターを指差しながら懐かしそうに目を細める。



「あれさ、俺らが高校の時にできたじゃん。二人で行きたいなって話してたけど、高校生で車もないしでちょっと遠いなって。いつか、免許とったら俺が連れてくるっていう約束………覚えてるわけねぇか。」



「………覚えてるよ。」



覚えてる。だからなんとなく、今までここは来なかった。椿と来るはずだったから。



「よしっ!じゃあ行こうっ!」


そう言って車から降りると椿は自然に私に手を差し出す。


そして私も自然に手をつないだ。



椿が私との小さな約束までも大切に覚えていてくれて、嬉しかった。



心がギュゥッと息苦しい程、締め付けられる。


前を歩く椿の背中に、コツン。とおでこをぶつける。



「………椿、ありがと。」


そう言うと、照れているのかこちらは振り返らず、

「おぅ。」


と短く返事をして、繋いだ手をぎゅっと握り返した。