「……嫌いになったの?俺のこと。」



「嫌いになんて………なれなかったよ。」



椿の視線が痛い。



「じゃあ。なんで?」



椿が手を伸ばしてきて、私の髪を耳にかける。


「俺は、都のこと………」


パシッ!っと椿の手を払い、ぷいっと横を向く。


「もうっ!いいでしょっ!そんな昔のことっ!!」



ぐぃっ!っとあごをつかまれて、椿と無理やり視線を合わされる。



「よくねぇよっ。俺はあのときから何も変わってない。」



手を振り払わないといけないのに、身体が動かない。
視線をそらせない。




「俺はいまだに、都を追いかけてる。」