犬と猫



「じゃあ、悪いと思ってないの?だから、あたしに突っかかってくるわけ?」

居所が見つからない怒りを放つ。
本当は違う。
こんなこと、言いたいんじゃない…。




「だから、何回も言ってるじゃん。俺は、田嶋さんが好きだって。」

そう言い放った瞬間、こいつの、夏波の纏う空気が変わった。



そう。
本気なんだ、という空気。


「なんで?よく知りもしないあたしなんかに好きって言え…。」

「知ってるよ。」


あたしの言葉を遮って夏波はそう言った。