入学してまだ間もない頃、話したことのない男の子に告白された。
ほぼ接する機会のない、一番遠いクラスの男の子だった。ああまたか、そのときは、そんなふうに思っていて。
ごめんなさい、と一言つき合いを拒む返答をした。
その男の子は原田くんと言って、少し押しの強そうなチャラチャラしていそうな男の子だった。
きっぱりと断ったはずなのに、どこで知ったのか、バイト先に待ち伏せされるようになった。
お店で何かを食べていくわけでもなく、帰り際の時間を見計らって、送っていこうか、なんて頼んでもいないのにニヤニヤした顔をして。いいです、と断っても、何度も何度も来るようになった。
初めのうちは、菜子に相談しようと思っていた。
きっと言ったら何か力になってくれる、そんな気がした。けれど、早々と家に帰るこの子を、バイト帰りに、なんて話をしたら、きっと夜でも飛んできそうな気がした。
せっかくできた友達なのに、迷惑だ、うざいなんて思われるのは怖い。それを思って、夜な夜な眉間に皺をよせていた。
ある日、原田くんが、送ってくくらいいいじゃん、と強引に腕を掴んできた。好きでもないのに、思わず顔が熱くなって、頬が真っ赤になってしまった。「かわいいね」なんて、勘違いも甚だしい言葉をかけられて、否定しようにも説得力は皆無で。
困惑して泣き出しそうになっているところを、一之瀬くんが助けてくれた。
「直人? と、蓮見さん?」
ビニール袋をぶら下げて、ガサガサ音を鳴らして歩いていた。
どうやら、発売日当日のゲームが見つからなくて、はしごしていたらこんな時間になったらしい。仰々しい雰囲気を察してくれたのか、「何? なんかえっちなことでもしてんの」とピクリとも微笑まない顔で言っていた。
「やっ、違うし! そんなんじゃねえから!」
「ふーん、そうなの? 原田、7番くじ引くから一緒にコンビニ来て」
そうやって、私も原田くんから解放してくれた。
菜子に乙女だと言われるその思考が、まさにヒーローかのように思えて、その日から、気になる存在になってしまった。

