「フジヤマ……ごめんね」
「……うん?」
「私たちと話してる時、いつも無理に笑っていたのかな……と思って」
「……いつも、すげー楽しいよ」
「でも……」
「いや、マジで。 俺、サクラたちと話してる時って毎日すげー笑ってるから」
フジヤマが、ポンポンと私の頭を叩いた。
とても優しく、私の気持ちを落ち着かせるかのように……。
「『高校生ルーム8』でサクラたちと喋ってる時、俺は自然と笑ってる。 俺が無理矢理笑ってるのは、他の部屋で他人と喋ってる時だよ」
「……私たちだって他人だもん……」
「ちゃうちゃう、俺らは友達っ」
「……友達だって他人じゃん」
「おいコラ、そんなこと言ったら世の中のほとんど全部が他人だぞ? ……ったく、ウジウジサクラめ。 まぁ俺も人のこと言えないくらいウジウジしてたけど。 でももうやめたっ。 ヘコんでたって なんにもならんっ」
そう言ったあと、フジヤマはタバコを灰皿に押しつけた。
そして……、
「サクラちゃん、俺っちこれから本気出すから、どっかにしっかり掴まっててね」
「……へっ?」
「こっから先、ギュインギュイン行く」
「え、ちょっ、えぇーッ!?」
……今までの穏やかな運転が嘘のような、急加速。
それはまるで、頂上から一気に下降するジェットコースターのよう。
麦わら帽子の上に乗せていたサングラスをスチャッと装着したかと思ったら、さらに加速、加速、加速っ……!!
「……無理無理っ!! ぶつかるっ!! 死ぬーっ!!」
「俺が運転してんだから死ぬわけねぇだろ?」
「絶対死ぬからっ!!」
「死んだら墓参りくらいは行ってやるよん」
「なんで私だけ死んでることになってるわけッ!?」
と必死に声を出してはいるけれど、私、顔面蒼白。
だけどフジヤマは楽しそうに笑いながら、また加速……。
──……その後、通常よりもかなり速く私の住む町に到着したのは、言うまでもない。



