……何か、聞いた方がいいのかな?

それとも、話してくれるのを待った方がいい?


車に乗ってからずっと、会話は途切れることなく続いていたけれど……今、初めての静寂だ。






「……ほんとにさぁ、なんでアイツ、女じゃねぇのかなぁ」



ポツリ、フジヤマが言う。

……アイツ…って、YUKIのことだよね?



「俺、YUKIのこと好きだったんだよね。 女子大生のYUKI、をな」

「あ……うん、なんとなく…知ってた」



フジヤマとYUKIはいつも楽しそうにチャットしていた。

言い合いをすることも多かったけど、仲がいいからこそ そういうのだって出来るんだって思ってたしね。


……だからなんとなく知ってたよ。

フジヤマがYUKIに好意を寄せてるって、気付いてた。

きっとユージも知ってたと思うし、YUKIも……今日会った雪村さんもきっと、フジヤマの想いに気付いてたと思う。


あぁ、そっか……。

だからフジヤマはしんどいんだ。

想いを寄せていた人が男性だったから……『女子大生のYUKI』にはもう二度と会えないとわかってしまったから、苦しいんだ。