「よし、ベルトしたな? じゃあ出すぞー」

「うんっ」

「暑いとか寒いとか遠慮なく言えよー? あとな、酔ってきたら早めに言うことっ。 いい?」


「りょーかいっ」



普段と同じように笑うフジヤマを見て、私も笑う。

さっきまでは不安を感じていたけれど、今はもうそんなものは感じていない。


フジヤマとドライブを楽しむ。

目一杯に楽しめたら嬉しい。

そう思いながら、私は車を運転するフジヤマの横顔をチラリと見た。



「……なんか、意外だったなぁ」

「何が?」

「フジヤマって車の運転出来るんだなーって思って」


「そりゃ、運転くらい出来るっしょ。 つか、通勤に車使ってるしっ」

「……え、通勤?」



……あれ? フジヤマって仕事してたの?

毎日私たちとチャットしてるのに?



「あ、言ってなかったっけ? 俺、警備員やってんだ」

「……自宅警備員?」

「ちげーしっ。 アレだよ、でっかいビルとかスーパーとか病院とか、そういうとこの警備」


「……ずーっとチャットしてるのに?」

「ずーっと居るように思うかもだけど、居ない時間もフツーにあるよ?」

「えー……?」



そうかなぁ?

私がいつチャットに行っても、フジヤマは当たり前のように居る気がするんだけど……。