「……フジヤマとドライブ、かぁ……」



お父さん以外の男の人が運転する車でドライブなんて、初めてだ。



「……フジヤマ、私と話して少しでも元気になってくれたらいいな」



ポツリと言って、小さく笑う。

フジヤマが何を思っているのかは、私にはわからない。

でも元気がないのは本当のことだ。


だから私は、フジヤマにいつもの元気が戻るように しっかりと話を聞くだけ。

きっとフジヤマは、誰かに話を聞いてもらいたいんだよね……?

だから私をドライブに誘ったんだと思う。


だったら私は、フジヤマの話を聞いて、頷いて、言葉を返して、また話を聞く。

そうやってるうちに、フジヤマが自然と笑顔になってくれたら嬉しい。



「……大丈夫。 きっと大丈夫」



さっきのフジヤマじゃないけれど、私もまた根拠のない『大丈夫』を繰り返した。

……不安はあるけど、でも不思議だ。

『大丈夫』って言ったら、本当に大丈夫になるようなそんな気がする。


気がするだけ……で終わるかもしれないけどね。

でも、きっと大丈夫。



「……大丈夫」



もう一度そう言ったあと、私はコンビニの中へと入った。

前にチャットで話した『好きな飲み物』の記憶を辿りながら、フジヤマに渡す商品を選んでいく。


少しでもフジヤマが笑顔になってくれたらいいな。 と、そう願いながら──。