そんな私の言葉に、ユージは楽しそうに笑ってみせた。
「千歳さんは多分、フジヤマと同類だから大丈夫だよ。 じゃなきゃ結婚しないでしょ」
……確かに、そう言われるとそうかもしれない。
6年前にチャットしてた『フジヤマ』と『ユキ』は、ずーっと仲がよかったんだもんね。
『ユキ』…千歳さんは多分、フジヤマのアホな言葉に的確にツッコミを入れて、笑いを倍増させることが出来る人だ。
そしてその逆もまた然り。
近くに居る人が呆れ返ってても、二人はきっと笑顔で会話を続けていくんだろうなぁ……。
なんて考えたら、なんだか大丈夫な気がしてきたっ。
「大変なのはYUKIじゃない? 今まで静かだった空間に、うるさいハエが入ってきて常に飛び回るんだから」
「ふふっ……ほんとだね」
「……あ、これ言うとフジヤマがもっとうるさくなるから、内緒ね?」
「うんっ」
そんなことを言いながら、二人でクスクスと笑い合う。
だけどそのあと、ユージが苦笑気味の笑みをこぼした。
「俺たちの会話って、だいたいフジヤマたちが出てくるよね。 他に話題ないのかよーって感じ」
「うぅ……話題がなくてごめんね……」
「ううん、俺も同じだから謝る必要なんてないよ」
首を横に振ったあと、ユージはどこか遠くへと視線を移した。



