「恋人が居たら、絶対に恋人優先。 前にそう言ったのはサクラだろ?」
「だ、だけどっ……せっかくみんなが集まったのにっ……」
「うん。 だけどさっきフジヤマも言ってたように、二人きりの時間っていうのは作ろうと思ってもなかなか作れない。 限りある時間を大事にしなくちゃいけないよ」
……限りある時間。
6年前のことを知ってるYUKIだから……千歳さんの病気のことを知ってるYUKIだからこその、重たい言葉。
そう…こうしてる間にも、時は少しずつ動いてる。
“今”はもう、二度と巡ってこないんだ。
だからYUKIは私とユージを二人きりにしてくれるんだ。
たった一度の人生の、たった一度の瞬間が“今”だから。
「今度、俺の家に二人を招待するよ。 ちい姉はもちろん、両親も二人に会いたがってるからね」
にっこりと笑いながら、YUKIは私の頭をポンと優しく叩いた。
「またね、サクラ」
「……うん……またね、YUKI。 絶対に、また……」
「うん、絶対に」
……そうやって短い言葉を交わしたあと、YUKIはフジヤマのあとを追って出ていった。
──その後、駐車場に停めていた車はあっという間に出発し、私とユージはろくに見送りも出来ないまま家に残された。



